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第五回:上達のステップ 〜守・破・離という発想〜


日本人はルール好きなのでしょうか、それとも独創性に乏しいのでしょうか、とにかく「基本」
を忠実に守るし、教えます。守ることが好きなのです。
ハウツー本でも「これで分かる○○の基本」なんてタイトル見かけることが多いですよね。
そしてみんなまじめに従います。基本ができなければ、すべて失敗してしまうと信じているかのようです。勉強の基本、スポーツの基本、資格の基本、就職活動の基本、恋愛の基本、育児の基本、冠婚葬祭の基本・・・わたし達のまわりには、まさに「ゆりかごから墓場まで」基本がついてまわります。機械の取扱説明書ではないのだから、多少アドリブを加えても良さそうなものを、と私は感じます。

外国のスポーツなどは、基礎とか基本を頭から受け付けないようなスタイルで成功している場合が少なくないようです。 近年注目を集めてきたアメリカ・メジャーリーグの選手の投げ方・打ち方は本当に独特です。今まで見たこともないような腕の振り上げ方をする投手がエースだったりします。またメジャーリーグで活躍する日本人にも基本とは明らかに違うスタイルが見受けられます。

野茂のピッチングフォームは「よくストライクに入るな」という投げ方ですし、イチローも相変わらず振り子打法を続けています。松坂と同じチームの岡島投手も地面を見てボールを投げているし、基本の本では「やってはいけない形」に紹介されそうな形ばかりです。
こういう人々をみると守破離という言葉があてはまりそうです。

「守」とは先ほどから文章に出てくる日本人好みの「守る」行為です。イチロー・野茂など彼らがすごいのは最初は基礎どおりのスタイルを身につけていた、と予想できることです。たぶん一生懸命身につけようと努力したことでしょう。その基礎を徹底的に極めないとアドリブをきかせても根本からグズグズなってしまいます。守は土台作りといえます。

次にどうしても上達の「壁」につきあたります。
そこでいままで一生懸命まもってきた基礎をあえて破ってみます。自分の体にあった本当のスタイルはどういうものだろうと考えるのです。多くの人が平均的に上達してもらうことを目的として作られたのが「基礎」ですから、ある一定レベルから上はどうしてもひとりひとりには、あてはまらなくなります。

そのレベルになったら色々なスタイルを自分で研究していくしかありません。ここで大事なのは今までどおり、努力していく情熱は失わないことです。他人は今までの守にもどそうと、逆の意見を言うでしょう。でも自分を信じて行動することです。何を残して何を切り捨てるのか、何を柱にして何を譲るのかを動きながら探るのです。考えてばかりいないでやり続けること。これが「破」です。

そしてある形に到達します。しかし喜んでばかりいられません。実際にこの形は使い物になるかどうか分らないからです。そこで現実に合う形に調節してゆきます。何度も何度も失敗をかさねて、誰にもまねのできない自分だけのスタイルにしてゆくのです。これが「離」です。

イチローの振り子打法、野茂のトルネード投法などはまさに守破離といえます。

美味しいフランス料理、斬新なファッション、快適な住まい、時代をリードしていく企業・・・このようなものにも守破離があります。

いけばなも例外ではありません。私達の世界も守破離の芸事です。時代とともに変わる柔軟性がなくなったら時代とともに歩いてゆけなくなります。だから色々なものに興味を示し、たえず発想のヒントを求めていくアンテナを張りめぐらせること。

伝統芸能だからこそ現代に、そして未来にこだわりたいと思います。
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