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第百十一回 世間という存在

 私が自身を古い人間だなあと思うのは「世間」といものを実体を以て意識している点だ。子供の頃に見ていたテレビでの謝罪または辞任会見というのは、決め文句として「世間をお騒がせしてしまい・・・」という言葉がついていた。聞いていた側もその一言が出ると、もう責めないというか溜飲が下がるというか収束に向かった。
 問題が起こったときある程度の騒ぎになるのは仕方ない。鉾の納めどころに「世間をお騒がせしてしまい」があった。世間をお騒がせさせたら偉い人も謝らなくてはならないと、テレビを見ながら知った。

 人の上に立つ者はいつも世間の潮目を読んできた。戦国時代は戦の潮目を、現代日本では選挙の潮目を読んだ者が勝つ。
 例えば2016米大統領選でドナルドトランプが当選すると思ったか。少なくとも日本のマスコミは全く予想していなかった。アメリカでも足を引っ張っていた。それにも拘らずトランプは潮目を読み切って勝った。イギリスのEU離脱についても日本の予想は外れた。これはどういうことか。日本の変革が世界から遅れているという事だ。さらに言えば日本が世界という世間からずれているからだ。

 立川談志の言葉で「よく覚えておけ。現実は正解なんだ。時代が悪いの、世の中がおかしいのと云ったところで仕方がない。現実は事実だ」とある。現実を認めようとしない者への痛烈な批判だろう。変革が起きるのには理由がある。周到に準備され起きた後の組織作りまで考え抜かれた後に、表面化する。周りが気付いた時にはすべて予定通り進行する。

 大河ドラマ「真田丸」のラストシーンで幸村と家康が戦場で対峙する。家康は「殺したければ殺せばいい。けれど戦国の世は終わった。これからは徳川の時代になる」と言い放つ。世間は新しいものとともに動く。次の時代のシステムに興味を抱く。古いものは捨てられ新しいものがそれに変わっていく。政治経済も流行もその原理から逃れられない。

 世間は天の時と地の利で変わる。何時何処で誰が何をしてどうなった、を把握する。自身に足りない事、次にすべき事を見出す。
 世間は厳しいだけじゃない。反省し軌道修正した者の事は許し、新たな機会を恵むこともある。自分が正しい、自分は好かれているから大丈夫とタカを括っていると足元をすくわれ、世間を騒がしてしまう。

 

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