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第百十四回 立ちいけの枝を選ぶ

 いけばなのお稽古を始める時、私は「準備・いける・片付けの3つが合わさって一回のお稽古です。どれもおろそかにせず」と伝えている。偉そうなことを言いながら私は後片付けが決して上手ではない。生徒さんの方がはるかに手際よかったりする。
 その中でも一番に関心を引くのはいける行為だと思う。活けるには「枝を選び、切り、挿す」とこれまた3つセットになる。今回はその中の枝選びについてである。
 一般的にいけばなは、枝で全体の形を定める。形が定まった後に花で色付けをする。盛花の基本形も壺にいける投入でも枝を決めることが活けはじめである。

 特に立ちいけをいける場合は、枝選びが大きなウェイトを占める。いける型が頭の中で決まったら私は枝を選ぶ。枝選びに十分な時間をかける。一本一本吟味し「君はどこの枝になってもらおうかな」などと枝に胸の中で語りかける。時にイメージしていた枝と全く違うものが来ることもある。その時は目の前の枝を優先する。自分の活けたかった形を捨てる。自分の頭は柔軟に変化させる方が良い。枝を選んでいる光景はそばで見ている人には「活けないで枝を回しているだけで何やっているのか」と映るかもしれない。しかしこの時が私の頭は一番回転している。

 普通のたちいけは体から選ぶ。流しいけにするときは流しの部位から見つける。控流しながら控から、留流しなら留からとなる。流しの枝には前住・後住をつける。最初から付いている枝があれば申し分ない。しかし脇枝なら何でも良いと言う訳にはいかない。前住・後住がなければ別に添える。

 さて、通常の活け方に話を戻す。
 体は枝筋が一直線に貫いているのが良い。多少の曲は撓めて直す。しかしクネクネしている方は楔をいくつも入れなくてはならない。そうすると枝としての力がなくなってしまう。体は真っ直ぐなことに越した事はない。先端がスーッと抜けていると品格が保てる。
 天地人三才格に従い、体の次は用と留を選ぶ。体用留が良い枝になると風格も生まれ、美しい立ちいけになる。用は体の三分の二ぐらいの長さと言われているが、その時々でかなり長短がある。留は体から順番に降りてきた枝が、留でしっかり止められるように力強い枝にする。主役になる枝なのでまずはこの3本を選ぶ。
 ハズで活ける時は用、前住、後住の3本が土台となる。この3本の上に他の枝が寄り掛かっていく。しっかりした枝を選ぶねばならない。前住はやや太めの枝にすると楽である。
 次に体の部分の枝を選ぶ。体はすでに選んだので体以外の囲と控だ。囲は体を手前から囲い、控は体の奥に控える枝だ。この3本は美しいと中心に品格を与えるような姿になる。
 控までで6本入った。この辺でハズ(股木)の余白が2割から3割くらいが理想的な埋まり方である。
 残りの留の部だ。留以外の見越・続についてもしっかりした枝にしたい。見越は流派により埋(うずみ)とする。体と留の隙間をしっかり塞ぐようにいける。 続は留と前住の間位の長さだ。留見越続の3本もきれいな三角形になるよう心がける。

 この位の見立てができるようになるのは早くて10年かかってしまう。しかしできないところが面白い。慌てずじっくり上達していけばいいと思う。

 

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