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第百三十五回 寒風凛姿

 雪中花・金盞銀台・移徒の花・女史花・姚女花・凌波仙子など様々な異名のある水仙。それだけ世界中で色々な時代で愛されていたという証しだと思う。※

 いけばなの世界でも水仙は別格の扱いにしている流派が多い。水仙は足元の白い「はかま」と呼ばれる、葉と花茎をまとめる部分が大切である。この部分を丁寧に外す。すると葉が4枚になる。古典花で使う水仙は4枚葉のもので、3枚葉のは除く。立ちいけの水仙が高い理由である。桂古流ではその水仙の葉のねじれを一枚一枚手でしごいて真直に修正する。内葉と外葉、右側と左側が迷子にならない様注意する。寸法をそろえたら足元を細くして、葉を糊ではっていく。そしていよいよ「はかま」を履かせ直す。この時はかまが切れてしまうからずっと水の中に入れておく。葉が乾燥する前に半紙で巻いていく。これで一本出来上がり。初めてだと1本作るのに30分くらいあるいはそれ以上かかってしまう。和紙が乾燥して形が固定するのに丸一日かかる。乾いたら剃刀で和紙を切って人様に出せる状態になる。

 この糊で固定していく方法とは別の活け方が桂古流の古文書には残っている。葉を軽く撓め四枚葉をそれぞれの役枝にする図を目にした事がある。
 家元になると祖父、父が活けたことのない資料を見つけてしまう。花留くつわの資料を見つけた時も「ああ、なんで私の目の前に出てきたんだ」とボヤきたくなった。流派という言葉の通り流されているのは楽だが、遡上するのは大変なことだ。何年かかるか・・・形にしていく努力は続けていきたい。

 桂古流には御銘を頂いた花型がある。光格天皇(在位1780〜1817)から水仙活け方の御銘「寒雪山」を賜っている。この資料も私が家元になって発見してしまった。こういった幻の花型を蘇らすのも家元の大事な仕事だろう。

 日に日に寒くなっていく中、風に凜とした姿で立つ日本水仙は西洋の神話にはない強さがある。


※水仙は神話の中で美貌の少年の悲話がある。父の言い付けを守らず狩りもしないで湖面に映る自分の顔を見続けていた彼は神の怒りに触れ水仙にされたという。水仙の学名Narcissusと彼の名前の関連は有名だが、その由来がどちらが元かは定かではない。湯浅浩史は花からナルシスが生まれたと説く。いずれにしても、はかなげな花姿は美少年神話に関係する。

 

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