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第百三十六回 家に帰れば家の顔

 読売新聞解説委員の橋本五郎氏を講師で招いた。講演してもらった後同じテーブルで会食した。色々話したが納得したのは、どんなに忙しい職についていようと家庭においては関係ないという点だ。家では家の役柄がある。掃除もあれば洗濯もある。炊事、送り迎え、買い出し、留守番など日々の生活でこなさなければいけない仕事がたまる。 仕事とは言わないが神棚・仏壇の水替えお彼岸お盆の親戚回りも役目かと思う。頼まれた仕事ができずに五郎さん、家族からブーイングされたそうである。
 花茂社長の北野氏も同じような愚痴が出る。息子の意見にはみな従うが、氏の提案には異論が出るらしい。
 どこの家でも一緒である。家族に向かって職業柄や役職を話しても意味がない。1日24時間オフィシャル、ビジネスの顔のままいられるわけでもない。どんな偉人でも同じである。確か遠藤周作であったか、昭和の太閤といわれた総理大臣とお嬢様にインタビューした。些細な行き違いから父娘で口論となり、とうとうお嬢様が泣き出した。国会論争ではどんな苦境でも堂々としている太閤も、この時ばかりはオロオロしていたとエッセイに記されている。

 ペットに対しても人は素の顔に戻る。父華慶は自身の兄からもらった白猫を可愛がっていた。「ちゃこ」とか「ちゃーちゃん」と呼んでいた。白猫も父にはいやらしい位甘えていた。私に厳しかった父が文字通り猫かわいがりしていると、ばっかじゃないのと思った。私が活けた投入れを白猫がぶつかってひっくり返し、挙句に花器を割った。私が叱ろうとすると父が「誰がそこに置いた」と言うので「私です」と答えた。父は「ちゃーちゃんの通る所に置いたお前が悪い」と叱られた。私が白猫のトイレの掃除をしていたので白猫のほうも「早くきれいにしなさいよ」という目で毎朝私を見た。犬も飼っていたが散歩は私だった。親が飼ってきていつも私に動物の世話役が来る。もうこりごりだったので親がビーグル犬を飼おうとした時「散歩しないから飼っちゃダメ」と言った。
 今も三毛猫、茶トラの2匹の猫がいる。私は可愛がりも叱りもしない。しかし寝る時は三毛猫が一緒である。脇の下にもぐり込まれる。朝まで動けないので肩が張る。食事や休憩で椅子の座ると茶トラが乗ってくる。膝の上で丸くなる。ペットもこちらの都合などお構いなしである。へとへとに疲れていても「さあ寝ましょう」と人の布団の上で待っている。

 掃除も洗濯も炊事もしないので、現代の男性として私は失格の部類である。家電製品のCMで男性が家事をしているシーンのなんと増えたことか!これも平成になって大きく変わった点と思う。朝、私の役目はジュースづくりである。チンゲン菜と水菜をベースにたまにキャベツも入れる。フルーツはリンゴ2分の1、ミカン、バナナが基本であとは季節のものを適当に入れる。仕上げに豆乳とヨーグルトと水を入れる。でジューサーにかけて出来上がり。なかなかの味だと思う。長男は迷惑そうな顔で飲んでいるが。

 

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