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第百四十一回  リアトリス

 いけばなでは材料のことを花材とよぶ。お稽古で「本日の花材は〇〇です」などと耳にしたことがあると思う。私が今まで手にした花材は何種類にのぼるだろう。二百か三百か五百種類は超えるだろうか。数ある花材の中でも私が多くお稽古しているのは、リアトリスと孔雀ヒバである。

 桂古流でリアトリスは正教授、孔雀ヒバは国会司の指定花材となっている。その試験の頃は自然と両花材のお稽古が増える。私もお稽古するが受験生の方はもっと必死でお稽古する。リアトリスは紫色の花だ。正教授の試験直前は何瓶もお稽古しては持ち帰る。受験生の人の中には自宅の中がリアトリスで紫色になりました、という人も出てくる。

  リアトリスはキク科・北米原産の多年草である。麒麟菊とも呼ばれるが先代華盛は「槍留菊」と言っていた。寸法を測るのにとても適している。矯めることもできる。リアトリスは草花の立ち活けするために生まれてきたようだ。これほど適した外国産の花材も珍しい。

 先代華盛はリアトリスが草花の立ち活けの稽古花材に向いていると見抜いていた。葉は長いが爪でつまめばスッキリする。出荷されたばかりのリアトリスは表情が乏しく感じるが、立ち活けとして形が整うと本当に美しい。 ただし夏場になるとリアトリスの茎は太くなってしまう。祖父は太くなるのが嫌で夏場は細いリアトリスが育つ長野県指定で栽培させていた。桂古流だけのリアトリスですよと昔の花屋が自慢していた。

 桂古流の草花の立ち活けは寸法(比率)が決まっている。9本活けの場合、前住―後住を基準とする。 前住―囲、囲―前添、前住―続、続―見越、続―留の長さが基準と同じとなる。この6か所より1割長くなるのが用―前住、用―後住の2か所である。2割長くなるのが前添―体となる。これは寸法だけ覚えようとすると複雑だ。原理を言えば体・用という目立つ枝を引き立たせるために決められている。間隔を開ければすっきりと目立つからだ。

 さらに9本以上活ける時も美しく活けられる。11本活けは9本活けに乳葉と後囲が加わる。乳は生まれたてという意味でとらえる。用・前住・後住の重心部分から少しだけ先端が見える程度となる。後囲は体を後から囲う。13本では露流しと控が加わる。枝物の立ち活けでは5本から控を加えるが草花では後になって挿す。15本では体・用・留それぞれのグループを5本とする。

 たとえ15本挿してもリアトリスだと筋が見え綺麗に空間が抜ける。キリリとした立姿になってくれるので柔らかい曲線の花材とコントラストが映える。お稽古から展覧会まで幅広く使われる。

 一般にはそれほど知られていないリアトリス。桂古流には大事な花材である。

 

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