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第百四十六回 準備

 旅行に出かける時、どのタイミングが一番ワクワクするかと問われれば出発直前と応える。新幹線ならば改札の中でお弁当を選んでいる時、飛行機ならば出国前の手続きから免税店を巡り、動く歩道に乗る辺りは一番興奮している。家内がサングラスかけていようものならば「今回はどちらにご旅行ですか」とインタビューし、芸能人とレポーターごっこをしている。傍から見たらいい年してみっともないことだろう。でも嬉しさが抑えられない。若手会のバス旅行に参加している頃は午前中のバスの中でほとんどエネルギーを使い果たすタイプだった。
 コンサートでも本番前会場が暗くなってアーティストが登場するまでの独特の雰囲気が大好きだ。暗い中でアンプの赤ランプだけが見えている時、これからどんな演奏が始まるのか興奮はピークに達する。私は「始まるまで」がとても好きだ。

 いけばなは「準備」「いける」「後片付け」で一回のお稽古ですとお弟子さんにお話ししている。その中で私は準備に手間をかける。準備がしっかりできていれば、その後の作業は歴然と差が開く。
 準備といえば花器を用意するのが大切となる。盛花の花器は基本形か株分かコンポートのどれを活けるかで選ぶ器の形が違う。素材も風炉の時期ならカゴ、酷暑の一時期はガラスと陶器・磁器以外になる事もある。 基本形は通常の水盤、株分は剣山が2個以上入る花器、コンポートは足付きの花器となる。花器の底が平らとは限らないので角の剣山、丸の剣山をどちらが安定するか確認する必要がある。通常は四角い剣山には四角い花器、丸い剣山は丸い花器を使う。備品が揃わなかったり、前述のような理由の場合は四角い花器に丸い剣山、丸い花器に四角い剣山で構わない。花器の底部に凹凸がある場合、砂利を敷き平らにする。
 水の量だが水盤ならば剣山の先端がヒタヒタに浸かる位花器に注ぐ。まったく水を入れずに活けては草木が気の毒だ。花器に満杯に入れてはこぼれることもある。水を足すのは活け終わってからがいい。投入れは7〜8分目、立ち活けは季節により少し変わる。
 剣山以外の花留として花器の内部に仕切りを入れることがある。一文字・十文字に枝を架ける。
 立ち活けは剣山活けハズ活けで準備が変わる。剣山活けは盛花とほぼ同様だ。ハズ活けの場合、ハズを花器にかけることが準備で一番重要になる。ハズという語はハチスの派生だと思う。Yの字の又木を指す。通常は割りハズで活ける。割りハズは一本のハズ棒を縦に割く。この時左右が等角度になる。Y全体で70〜80度が一般的だが活ける花材の太さ活け方によって角度や大きさは調整する。立ち活けで上手にハズが架けられれば半分出来上がったも同じである。
 机の上は布巾とハサミ、花材を置く場所を作る。右利きならば右側に花布巾と花バサミ、左に花合羽を広げその上に花材を置く。自宅や教室でなく依頼された場合は周りに残材で散らかさないよう養生すると良い。前掛けをしてから活けると衣類を汚さなくて済む。展覧会の準備などは作業しやすい服装だが、デモンストレーションや活け終わった後すぐにご来賓のご巡覧がある時は、それなりの服装で活ける。

 大雑把に活けるまでの準備を記した。準備は面倒に感じるかもしれないが、何をどのように活けるか考えながら整えていくのは楽しい。準備で体を動かすと頭も自然と働き出し構想がまとまることもある。準備はすでに制作の一部だ。

 

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