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第百四十九回 おせっかい

 悔しいけれど年を取ったなあと思うのは電車に乗った時、座る席を探してしまっている自分に気づいた時だ。昔は窓際に立っていなのになあと思いながら居心地悪く座っている。
 先日も地下鉄に座っていた。向かいの席に留学生だろうか、中国語を話す若者が3人座っていた。次の駅で杖をついたお年寄りが隣のドアから入ってきた。私の位置から対角線の場所で、声をかけるのには少々離れていた。益々居心地悪くも座っていた。大きな声をかけて来てもらうべきか悩んでいると留学生らしい若者が「ドウゾオカケクダサイ」と片言の日本語で席を譲った。老人は笑顔で礼を言い腰かけた。席を譲った若者は座っている2人の若者に話し始めた。2人は頷きながら聞いている。次にまたお年寄りが2人乗車してきた。すかさず座っていた留学生の2人は立ち上がり「ドウゾスワッテクダサイ」と言った。お年寄りは礼を言いながら隣同士座ることができた。最初に立ち上がった留学生が次に譲った2人に笑顔で話しかけている。2人も誇らしげに頷きながら聞いていた。最初に席を譲った留学生は分かる。でも残りの2人に話すのはややおせっかいと感じる。私はこの手のおせっかいを聞いたり見たりするのが嫌いじゃない。

  私自身おせっかいだと思う。先日ひどい土砂降りの時、乳児を抱いた母親がうちのタワーから帰れずに立ち往生していた。私は出かけるところだったのだが、家に余っていたビニール傘があったことを思い出し取りに戻って渡した。ランニングというのは歩行者に迷惑をかける行為だと思う。曲がり角でぶつかりそうになったり細い道でも避けなくてはならない。邪魔な存在だなと自身で思う。お詫びでもないのだがお年寄りがお店の扉を押せない時は押してあげたり、横断歩道を渡り切れない人の手助けをしたりする。昔は車椅子の方や乳母車が階段で困っている時は何人かで手を使って持ち上げた。こういう事はおせっかいでもプラスのエピソードに分類される。
 一方で事務や公民館などに行き椅子が通路にはみ出しているとムズムズしてくる。ほとんど無意識に直している。靴箱やロッカーの扉が開いているのも直してしまう。化粧室の洗面台がビショビショだと気になり、備え付けの布巾で拭いてしまう。こうなるとかなりおせっかいである。人に頼まれもしない事をして奇異な目で見られるのではないかと不安になる。

  いけばなはおせっかいな位でちょうど良い。作品展示に於いて常に気を配る。花材の水揚げを心配する。枝をたくさん挿した時は水の減りが早い。竹筒の水は1日でコップ1杯減ることもある。暑ければ霧をかけたほうが良い。水を足したり霧をかけたら花台はすぐ吹いたほうが良い。下いけの時は元気な枝が展覧会場で萎れることもある。必ず予備の枝を一本多く持っていくようにする。 展覧会場では両隣の出品者の先生にご挨拶してからいけこみをする。子供教室では花布巾の上にハサミを置くこと、移動する時は軽く剣山を親指で押さえながら運ぶことなど話す。小うるさいおせっかいなおじさんだなと自身で思ってしまう。

 

 

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