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第百五十五回  熱

 やる気を持つ時、人は何を感じるだろうか。体は、心は、どのように作用するのだろうか。やる気になった時、人は何を胸に秘めるのか。ジャンルは勉強でも良い仕事でも育児でも趣味でも良い。 夢中になっている時、心の中に存在しているものとは何だ。 それぞれ違うだろうし、やろうとしている内容によって変わる。 読者の皆さんが「よしやるぞ」と思い立つ時の内側を私は見てみたい。
 「獲物」が定まると、私は身体が熱くなりやる気につながる。マラソンでも一人で走っている時と大会など大勢で走る時はやる気に差が出る。大会は「獲物」を追う。前を走っている誰か一人を見定めその人を追いかけるようにして走る。獲物が速くて見失ってしまうこともあるし、遅くて追い付いてしまうこともある。そしたらまた次を見つける。走っている間はずっと追いかけていることになる。

 桂古流で企画などを立てる時は最終目標を決めてしまうことが多い。現状を目標に近づけるにはどうすればいいか道筋が立った時やる気が出る。会社時代に仕込まれ身に付いた手法だ。最終目標を「獲物」とするとまずはソーッと近づいていく⇒地味な作業をコツコツ進める。徐々に距離を詰めて射程圏内になったら一気に捕まえに行く⇒打ち合わせを重ねて内容が固まったら一気にイベントを立ち上げる。こう考えるとマラソンに似ていなくもないが、イベントだと企画時より内容が増えたり、減ったりする。フルマラソンと言いながら38qになったり45qになったりする。

 いけばなで「やる気になる」時は2つのパターンに分かれる。指導している時と作品制作している時だ。
指導している時「この人は一段上に上るために何か見つけようとしている」と私が感じる時がある。眼差しや質問の口調などからビンビン伝わってくることがある。生徒様のやる気を汲み上げ、私なりの返答をする。 上手くやる気につながることもあるだろうし、見当違いな時もある。桂古流はやる気のある人ばかりなので、普段のお稽古でも研究会でもまた体験教室でも皆様のやる気をひしひしと感じる。生徒様の作品を前に私自身の経験談を話す。失敗談を延々と話す。それが指導と言えるのか自信がないが熱は伝えているつもりである。
一方、作品に向き合う時は一対一である。枝を見て鼻から大きく息を吸ってクワッと心の目を開く。実はそこから先はよく覚えていない。頭でもなく心でもなく夢のような状態で制作している。起きているのだが意識が飛んでいる中で手を動かしている。目の前の植物と無我夢中で競い、争い、たわむれ、全てが突き抜けて最高潮に達する。頭が真っ白になってフウと息をつくと作品ができている。いけこみの時は熱で自身が燃えているようだ。

 

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