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第二十回:いけばな、という呼び名

切ってしまった花。それは切られているわけだから生きてはいない、と考える方もいます。これは現代に始まったことでなく、いけばなが登場してからずっといわれていることです。

いけばなの伝書によると「なるほど切り落とされてはいる。けれどじょうずに水揚げし手をかければ、根のついている植物と同じか、それ以上の姿で花を咲かせてくれる。よって切られてもいけばななのだ」と問答調にしるされています。

では魚屋でつかう「イキがいい」とか料理屋の「生き造り」と同じかというと 少しちがう気がします。イキがいいのは素材そのものの良さです。当然輸送技術の発達などあるでしょうが、あまり手を加えていないニュアンスを感じます。それに対し「活ける」という言葉には活かしてあげる、手塩にかけてベストな状態に保っているという、人の介入する部分が多いように感じるのです。ただ切っただけならすぐ枯れてしまう花たちをいかに美しく保つか、という逆説的な行為の中にいけばなの魅力はあります。

それには、草木にとって最もダメージの少ない活け方をしなくてはなりません。まず切り口です。水を吸う切り口は広く綺麗になっているでしょうか。斜めに切ればそれだけ断面がおおく水にふれます。切れない小刀やハサミで切り口がグシャグシャでは吸い上げる管がつぶれてしまい、枯れてしまいます。

葉や枝の量はいかがでしょう。一本の切り口から吸い上げる水でまかなえる量でしょうか。余分な葉や枝を取ることは形が美しいだけでなく、長もちする大事な条件です。

枝をためる時も負担をかけすぎないように、大きなためを一箇所にいれず小さいためを数箇所にいれます。 そして最後は植物がこちらに身をゆだねるように願います。草木が私のことを信頼してくれるよう念じ「大丈夫だよ」と心で声をかけるのです。

ここまで気遣っても相手は生きものですから、あっけなく枯れてしまうこともあります。そういう時にすぐ捨てず、よく見てみると原因がわかる時があります。枝がコブのところで水が上がらなかったり、あたたかい季節で植物の代謝活動が活発になり必要なだけ水が行き届かなかったり様々です。これも一つ一つ経験していくしかありません。

いけばなはその呼び名が示すとおり、切られても美しい生き生きした花であるように日々精進する文化だと考えます。

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