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第三十六回: 前に進めていくことは悩んでいくこと

 それが人生の選択であれ国の政策であれ、前例のないことを実現にむけて進めていくのは大変なことだ。何もない白いキャンバスに、どんなストーリーを描けばよいのか人それぞれの立場で悩む。初めてのことを構想し実現に向けて前に進めるというのは、誰にも成否が分からない。簡単に実現までいくこともあるだろうし、泥ぬまのような失敗におわる事もないことはない。重大な局面なら成功は賛美と祝福となり失敗は罵詈雑言の嵐となる。


 100%すべて個人で責任をとれるならば勝手におし進めて構わないと思う。けれど誰かに迷惑がかかる場合どう後始末するのか考えなくてはならない。相手にどの程度の迷惑をかけるのかも悩まなくてはならない。もしも救いのない迷惑をかけねばならない時、その矢面にたてるか意識転換も必要になる。 連絡・相談・報告をたえずおこない、相手に迷惑をかけたことによって得られたプラスは相手が受けるマイナスより大きいものなのか常に見守り判断する。人は悩み、そして挫折する。変節し妥協する。外圧の強さとおのれの非力さを痛感する。そして削る部分と残す部分が見えてくる。


 そして機が熟すタイミングをはかる。何の分野をいつ、どのくらい前に進めるのか。これは天のみぞ知るわけだが「今だ!」と思ったら流れに逆らわないほうがいい。本人にしか見えない景色、本人にしか聞こえない音がある。 大事なことは「前に進めるために悩む」という姿勢だ。同じ悩むにも後ろに下がるためや現状維持のための悩みでは夢がない。迷惑をかける人や反対する人にも前に進めるのだから協力してほしいと訴え、夢を共有してもらうことこそ説得につながる。


 その夢とは何か、何だろう。しいて言えば未来への希望か。未来への希望と書けば聞こえはよいが訓読みにすれば「まだ来ぬ まれなのぞみ」である。これはかなり可能性が低い。低いけれど前に進もうとする姿勢は、間違いなく現実のものである。一番大事なことは前に進もうと悩んでいる姿を多くの人々、とりわけ次世代の人々に見て感じてもらうことだ。たとえ失敗しても、次の世代が受け継いでくれる。


 前に進めていくことで悩む時は苦しみの中にも楽しさがある。


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