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第四十一回: 世の中はそんなに悪くない

 ここ2、3年、年末年始になると、ふと明るい気分になる。なんなのだろう。こんな大変な時代を生きているのに変なヤツだ、と自分がおかしくなる。冬のつきぬけた青空はなんて素晴らしいのだろう。さむさを気にしなければ嘘のようにすみ切った青空の下をどこまでも走り抜けたくなってしまう。


 私が社会人になってから日本経済はずっと右下がりだ。毎年毎年ろくでもない出来事ばかりがよく起こる。マスコミも「政治がわるい」「金融がわるい」「外交がわるい」といい続ける。バブル以降の景気政策は何一つ成功しない。私の年はまもなく44歳になる。生まれてから22年間が好景気、その後の22年が不景気となる。そう考えると次の22年に期待をよせたくなる。そういうグシャグシャしたことを考えるのは12月半ばくらいまでで20日前後になると、なんとなくすべてが浄化されてきれいになっていく気がする。イレイサーで全て消されたホワイトボードのようだ。


 この時期は大げさにいえば人生の最初とか最後とかに居合わせたときと同じ空気をもつ。人が容易に触れることを許さない敬虔な、そしてしずかで大らかな空気。ああ、間もなく年が変わるのだなあと素直な気持ちになる。なんにもしない、なんにもできないでただ見守る。限りなく愛おしく時を想う。意気込むでもなく後悔するでもなく、あるがままを受け入れ、しずかにすすめようとおもう。


 日常においてお正月のお稽古にお弟子さんがたくさん来てくれるのは、それはそれでありがたいし、ガラス越しの日差しを受けてのんびり観葉植物に水をやっているのも幸せだ。


 刻々とすぎる時は悲しさと嬉しさが混ざったふしぎな明るい光となり、私達に絶え間なくそそぐ。私達は慣れないサーフボードに腹這いになり一つ一つ波をやり過ごしながら沖へ向かうように、これから一年間生きてゆくのだろう。 辛いことや悲しいことがあるかもしれない、怖いことや情けないことに出くわすかもしれない。


 でも多分、世の中ってそんなに悪くはないとまた一年後、思えますように


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