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第四十六回: 支部にいく朝

 日曜の朝、研究会の予定が入っている。全ての日曜とはいわないが年間50回くらいは研究会があるので、日曜は仕事をする日とおもっている。 研究会は家元教場でおこなう場合と支部にいく場合にわかれる。家元教場は自宅から徒歩2〜3分の距離なので、朝食を摂ってから教室にむかう。午前中の会は午前10時から2時くらいまで、午前午後通しの会は午前10時から夕方5時までのお稽古となる。


 そのまま月曜もお仕事になると休みなしで2週間がつながる。なかなかハードだが計画をたてているのは自分なのでしかたない。 さて、支部の朝は自宅でなく現地で朝食を摂ることが多い。食べながら何を話すか考えるのが好きだ。行儀よくない習慣だが、いつのころからかついた。私は研究会の時、プリントを持っていったり板書したりする。ただ花をいけるだけでなく「家元本部からのおしらせ」「講義」「実技」にわけるスタイルをとっている。プライベートは大ざっぱだが、研究会の準備はしっかりする…ほうだとおもう。資料をただ配るのでなく自分の言葉にして話さなくてはならない。個人的な考えやエピソードをまじえると、みんな熱心にきいてくれる。それには資料を、いじりたおす。話す順番を並べ替えたり、ふくらましたりけずったりして自分の話しやすい形に整えていく。なれない頭脳作業の時なのだ。だから一人でゆっくりできる空間が欲しい。では支部のどこでそんな作業をしているか。


 熊谷に行くとき。熊谷までは乗り換えなしで行けるし、座れることがほとんどなので車中で用が足りてしまう。熊谷駅北口に着くと二宮さんのお弟子さんが迎えにきてくれている。ビジネスホテルがあるのでラウンジはどうかと思うが、あまりゆっくりしているとお待たせしてしまう。どうしても寄りたいときはファストフードを利用する。熊谷駅南口にはなにかあるのだろうか。毎回気になりながら行かずに帰ってくる。


 加須に行くとき。加須の研究会は駅からすぐの施設が研究会の会場となっている。めぼしい店を物色していると支部の皆様にお会いし「先生、会場はこちらですよ」と案内されてしまう。うーむどうしよう。さんざんなやんだ挙句に乗換駅の久喜駅の中にみつけた。こじんまりしたカフェである。日曜日の朝、私以外にジャケットや仕事着をきた男性をチラホラみかける。どんな仕事をしているのか幽鬱そうな顔でコーヒーを飲んでいる。好きな仕事をしている分、私は少し優越感にひたる。加須までの列車の待ち時間が長いとぜいたくな朝となる。


 東京支部は大塚で開催される。埼京線を池袋で乗り換えてゆく。池袋の日曜の朝は和服姿のご婦人を多く見かける。お茶の研究会だろうか。女子大生の間をキリッとした和服姿の婦人が数人つれだって歩くと、かっこう良さに「おおっ」と思う。勘三郎のマクドナルドのCMとおなじである。高田馬場の茶道会館か、御苑の音羽亭か。若宮町の小堀さんか、はたまた市ヶ谷加賀町のお裏さんか。こちらの思案をよそに茶道道具の入った手提げ袋をもってサッサと歩いていく。山手線で大塚へは一駅だ。大塚の日曜の朝は浦和より静かである。動いているのは路面電車と鳩だけだ。大塚で立ち寄る喫茶店はビルの一階にある。特に禁煙というわけでもないのだろうが煙たくないのがうれしい。店内は静かでお年を召したお客様が数人、朝のコーヒーを楽しんでいる。そこの喫茶店でやわらかい朝の陽ざしを背中にあびて研究会の前の「作戦会議」を一人で練る。


 日曜の朝、のんびりとしていたいのだが、どこの店も20分くらいいるとちょうどいい時間になる。研究会の会場に10分前に入れるように出発する。


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