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第五十九回: 40男の筆記具

  このホームページの下書きはじつは紙とペンを使っている。失敗したコピーとか期限のきれた予定表、書き損じの伝票の裏面に書かれている。


原文ができあがり家族に目をとおしてもらい、OKがでると校正に入る。まどろっこしい表現や不必要な話題をバッサリ落としながら文章を整えていく。これが第一段階。

つづいてパソコンの入力時に気になる箇所を手直ししていく。不思議なことに手書きの文字では気にならない所がディスプレイではひっかかる。板を切った時できるバリのようだ。根気よく直していく。これが第二段階。

そして最後はサイト管理会社から送信されたテ ストのページでチェックする。書き手としてではなくコラムを読者のつもりで読む。自身の頭では分っていても一般のみなさまには通じない表現になることもある。段落の入れ替えなどをすることもある。これが第三段階。

都合3度は点検してみなさまのもとに届く。しかし「あっ、やっちゃった」ということが2回に1度はある。まことに難しい。


  だからコラムは、ボールペンか万年筆からはじまる。30代までは書ければ何でもよかった。銀行のボールペン(これがけっこう書きやすくてあなどれない)でも気にしなかった。そもそも文房具に執着しないので、そばにあればそれで書きはじめていた。

それが40代、とくに父がいなくなってから筆記具を意識することがふえた。サインや署名の機会が多くなったからかもしれない。自分だけしか手元を見ていないのと、他人から手元を見つめられるのでは何かちがう。別に郵便局のボールペンがいやになったわけでなく(これも書きやすくて恐るべし、である)急に、やおら、年相応のペンとはと考え始めた。そして相応のペンが欲しくなった。

父の遺した机の中にシェーファーの万年筆インクとパーカーの万年筆インクが残っていた。一方シェーファーのボールペンのボディとパーカーのボールペンのボディが出てきた。ややこしくて恐縮である。


よってシェーファーとパーカーの万年筆のボディが必要だしシェーファーとパーカーのボールペンのインクが必要となった。これが筆記具に興味がわいたそもそものきっかけだった。

パーカーの万年筆は家内からもらった。シェーファーの万年筆は2本手に入った。
ボールペンのインクも調達できた。するとJAの記念品でもらった万年筆がでてきた。これも書きやすい。
仕方ないのでインク(パイロット)を買った。机の横の棚にプラチナもあった。
そうこうするうちペリカンも仲間入りしてきた。こうなるとモンブランがほしい。と思っていたら母親に買ってもらった。河野君が見つけてくれたヴィトンのボールペンも加わった。 集めるつもりもなかったし、大して金もかけなかったが、そんなこんなで10本になった。


  ところが、である。彼ら(彼女ら)はなんとなく上品で使われる場所を選ぶ。
どこぞへ出掛ける時に持っていきたいシロモノである。入出金伝票や回覧板の出欠などにつかうと「どうしてあたしなのよッ」と言われそうでついついNTTのボールペンか無印良品の万年筆に手がのびる。そしてそのままカバンに入れる。
お高くとまったペンは臨戦態勢のまま出番がほとんどない。美しすぎていけられない花のようである。書きやすいウォーターマンの万年筆をペン先からおとしたのも、安易に持ち出さなくなったきっかけだった。
そのくせまたひそかに絶版のカトウ製作所の万年筆に食指が動く。価格が数千円から数万円という微妙な範囲も困りものだ。カルティエの万年筆、ブルガリのボールペンなどは恐れ多くて持ち運べない。

  またヤードオレッドのペンシルやデルタのドルチェビータ、ドゥカティの万年筆(そう、二輪のフェラーリといわれるドゥカティが作った万年筆である)は寝る前にこっそり眺めている。
もういらない、まずあるものから使おうと思いつつ、時間があると万年筆のホームページをうっとりながめてしまう。

今回の下書きは・・・もちろん書きやすい桂古流菜の花会のボールペンである。





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