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第六十三回 アネモネ


 お正月の花が終わると早春を彩る洋花としてアネモネが出てくる。

 アネモネはキンポウゲ科の植物として日本でも広く親しまれている。
ダイアナ・ウェルズ「花の名物語」のアネモネの項には、アネモネは風の花とされギリシア神話のアドニスとつながりがあるとされ、下記のような神話が紹介されている。


 「生まれたばかりのアドニスを見て、アフロディーテがたちまち恋してしまう。アフロディーとはアドニスが危害を受けないように冥界にかくした。しかし冥界の女神ペルセポネもアドニスを愛してしまう。アドニスをめぐり二人の女神は争うようになる。それ見てゼウスは半年ずつ暮すよう裁いた。アフロディーテはアドニスが狩りに出かけるたびに怪我をしたらどうしようと気が気でなかったが、耳を貸さないアドニスにはどうしようもなかった。或る日アドニスは大きな猪を追いつめて、槍を投げつけた。しかし急所をはずれ、逆に猪に襲われる。アフロディーテがかけつけた時、アドニスは手の施しようもなく彼女の腕の中で息をひきとる。」
こうしてアネモネは愛する者を守り切れなかった保護者の愛と人生に挑み敗れた血気盛んな若者の持つ美しさの象徴となったとある。


 私は「過保護」といわれて育った。自身ではそれほど過保護とも思わなかったが昔の世代では過保護なのだろう。今思えば高校まで祖父母の愛情の真綿に二重にも三重にもくるまって育った。
 大学生になると過保護の枠から放り出される事態が多発した。苦労が増えた分、自分が「ただの大学生」として扱われることは心地よい痛みも伴った。金を貸して踏み倒すヤツが世の中に本当にいるのを知ったのも大学生の頃だ。同級生に幹事を任せたコンパで、なんか料理がショボくないかと思ったら会費の6割しか頼んでいなかった。逆に私が幹事を任された時は、コース以外の料理をたのむヤツが現れたり。大人になってからはこの手の対処方法は覚えたが、最初は面食らった。
  アルバイトもよくやった。ライトパブリシティという広告製作会社のアルバイトは厳しかった。就職したかったから我慢したが、40日間休みなして働かされ疲労でぶっ倒れるまでこき使われた。まさしく使い捨ての目に遭い伊勢丹に「避難」するように就職した。

  こういう目に遭ってどうだったかと思うと、これが大して嫌な思い出でもない。なんというか世の中をたくましく(という表現があたっているかどうかわからないが)生きていく人との関わりはこちらも強くするように感じる。
 

 アネモネはアドニスの流した血から生まれた花と云い伝えられている。ただ単に可愛いだけでないアネモネ、そこにまつわる言い伝えは十字軍がパレスチナから運んできたという歴史も関わるかもしれない。

 






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