桂古流いけばな/活け花/フラワーアレンジメント/フレグランスフラワー

ホームサイトマップ
 

第九十回 早口


 悪いクセで早口が直らない。耳の不自由な方にはさぞご迷惑なことと反省する。常日頃から直そうと思っているのだが、なかなかどうして…早口は早口のままだ。
 研究会のあいさつで、一番前の席に座った人が聞き辛そうにしている人を見ると慌てる。「ゆっくり、大きな声で」と自身に言い聞かせる。

 私はいつから早口になったのか。小学生のころはそんなに早口ではなかったはずだ。その後、流行ったお笑いの影響かもしれない。マンザイブームが中学生の頃はじまった。みんな早口だった。

 いつの間にか早口が当たり前になった。私たちも早口になった。お笑いをスローテンポにしたのはダウンタウンである。 それまではビートたけしも明石家さんまも島田紳助も早口だった。海外の音楽ではブルーススプリングスティーンが早口だった。国内ではさだまさしが早かった。「男はつらいよ」の寅次郎が大道商人の口上を言ったりタコ社長と言い争うシーンは見事に早い。黒柳徹子やおすぎもなかなかに早い。 
 芸能人以外だと小倉智昭の早口ナレーションが有名だった。えのきどいちろうや、田中康夫もコメントでは早口だ。野球解説では元広島の達川。政治家だと小泉純一郎が記憶に残る。

 これらの人々はなぜに早口か。私は意地悪ではなくサービス精神から早口になっているように思う。短い時間にどれだけ多くの情報を詰め込むか、旬の話題を色々な角度から投げかけるかというサービス精神に基づくのではないか。まあ、受け取る側としては3つも4つも情報をわたされるより1つの話題を受け取った方がいいと思うのだが。

 先日出演したショップチャンネルでも打ち合わせの時に早口であることを告白した。すると司会の女性から「大丈夫ですよ。私も早口ですから」と伝えられた。そうは言っても二人で早口でいいものかと思い、笑ってしまった。

 情けないもので最近ロレツが回らなくなった。舌がもつれるというか語尾がグシュグシュとなるというか…家族に話すと脳神経科に行けと言われた。最新のCTを撮ると脳のむくみや血管だけの3D画像がみえる。血管は詰まっていないらしい。通常の断層写真も見られる。なんでもなかったのでホッとしたが加齢と言われると悔しい。結局のところ早口でロレツが回らない状況は改善されていない。

 時間は残酷だ。私から容赦なく色々なものを奪っていく。午前中は声が出ない。通常私は5時に起きる。それから3時間くらいはガラガラ声だ。8時過ぎに電話をもらって「まだお休み中でしたか」と言われたこともある。確かに寝起きの声みたいなのだ。言い返すこともできない。

 早口でロレツが回らず声が出ないとなると、次は何が起きるか冷や冷やする。ほかの2つはともかく、早口はなおすことができるのだからと言い聞かせるのだが。


 

バックナンバー>>
桂古流
最新情報
お稽古情報
作品集
活け花コラム
お問い合わせ
 
桂古流最新情報お稽古案内作品集活け花コラムお問い合わせ
桂古流家元本部・(財)新藤花道学院 〒330-9688 さいたま市浦和区高砂1-2-1 エイペックスタワー南館